離婚時の財産分与
離婚時の財産分与は、原則として、当事者同士が合意していればどのような価格で分与しても良いのです。
ただし、実際には高確率で不動産の価値が争点になります。
その原因は、①財産に占める不動産の割合が高いこと、②不動産は時価がわかりにくいことです。
また、当事者が合意した価格で財産分与した場合あっても、税務当局が時価と著しく乖離していると認めた場合、その差額分については実質的に贈与であると判断され、贈与税が課される可能性があります。
主な不動産評価の方法
財産分与のための不動産評価を例示すると、以下のとおりです。
①固定資産税評価額を用いる方法
固定資産税評価額は、あくまで課税を目的として画一的に求められた価格です。
基本的に、土地は市場価格(時価)より低く設定されています。
建物は、新しい場合には市場価格より低く、古い場合には市場価格より高く設定されています。
また、収益物件等の収益性は基本的に反映されていません。
このような点に留意が必要です。
②不動産業者の無料査定
不動産業者の査定は、あくまで仲介の受注を目的としたものです。
売主は少しでも高く売りたい。買主は少しでも安く買いたい。
実際の成約価格は、この市場原理の中で折り合いがつくものです。
従って、無料査定も売主目線なのか、買主目線なのかによって変わり、相応の幅があると考えられます。
実際に売却して換金できた場合は良いでしょう。
しかし、離婚時の財産分与は売却しないことも多々あります。
その場合に、離婚当事者の双方がそれぞれ査定を取ると、双方の査定額が大きく乖離して、協議が長引く可能性があります。
③不動産鑑定評価
国家資格を有する不動産鑑定士による鑑定評価です。
不動産の鑑定評価に関する法律によって裏付けされています。
不動産鑑定評価をご活用ください。