【まるわかり不動産】借金でアパート建設~効果と対策
第一週目は「借金自体には相続税の減額効果はない」こと、
第二週目は「アパートを建設すると相続税が安くなる国の制度(財産評価基本通達)がある」ことを学んでいただきました。
では今週の質問です。「アパート経営は儲かるのでしょうか?」
みなさん、どうでしょう?答えは、イエスにもノーにも成り得ます。アパート経営は立地が第一です。名古屋市内の東山沿線、地下鉄駅から徒歩約5分。近くに大学がある。近くの企業が一括で借り上げてくれる。このような場合には、有利なアパート経営を行なうことができるでしょう。
しかし、想像してみてください。相続対策としてのアパート経営はどんな場所が多いのか。都心部なのか、郊外なのか。そう、郊外が圧倒的に多いのです。以前は農地ばかりだったものが、時代とともに周りは宅地化されていた。土地は広く所有するも、農業収入だけでは生活に支障をきたす。相続が発生しても、先祖代々の土地を売るわけにもいかない、都市近郊農家が中心です。立地条件に恵まれている土地の方が少数と言って良いでしょう。
更に、日本全体を襲う少子高齢化に伴う空家問題。年々加速度的に増加の一途を辿っています。果たしてこれからのアパート経営は大丈夫なのでしょうか?
ここで、アパート経営の収益性について参考となる資料があります。国土交通省が行なっている地価公示。毎年1月1日の地価を不動産鑑定士が評価したものです。その地価公示の鑑定評価書には、収益価格が記載されています。
住宅地における収益価格は、土地を「新規」に取得し、アパートを「新築」することを想定した、土地の収益力を表しています。時価である地価公示価格が10万円/㎡だった場合、収益価格はどのぐらいでしょうか?実は、3~4万円/㎡程度にしか過ぎません。
どう感じましたか?低いですよね。取引価格の3割~4割にしか収益力は満たないのです。但し、相続対策としてのアパート建設は、既に土地をお持ちの場合がほとんどです。この場合は、建物への投下資本を回収できればアパート経営は成り立つため、土地を「新規」に取得する場合よりは有利です。
そして、その事業収益が著しくマイナスでなければ、相続税が安くなる国の制度(財産評価基本通達)による節税効果が優ります。実はアパート経営の事業採算性はさほど高いものではなく、各種の節税効果や、銀行からの借入れ(レバレッジ効果)を活用して成り立っているものなのです。
これからの時代、空家問題に拍車がかかるため、何らかの対策が必要となります。リノベーション?広告宣伝?皆さん努力していますよね。これら以外で、金融機関で今、最も関心が高い有効な方法を次週お伝えします。
ポイント!: 相続対策としてのアパート経営は、土地が既にあるから成り立っている。