2021年はコロナ禍2年目
名古屋圏では住宅地の不動産価格は堅調に推移してきました
Q1.リーマンショックとコロナ禍は何が違うのですか?
一番は、金融危機かどうかです。
リーマンショックでは世界規模での景気悪化、株価下落を招きました。これにより不良債権化が進み、債務整理による不動産の早期売却により不動産価格も下がりました。
しかし、コロナ禍では世界全体が金融緩和を行なって、逆に市中には潤沢な資金が供給されています。税金も延滞を認める、銀行も返済のリスケ(リ・スケジュール)を認める等、お金がジャブジャブになったことにより、貨幣価値の下落による資産インフレが起こりました。Q2.テレワークの普及によって戸建住宅需要が伸びているって本当ですか?
確かにそれもあります。
ただ、名古屋では東京ほどテレワークは普及していません。テレワークはあくまできっかけ、話題、セールストークの側面が強いです。
実態は、①歴史的な低金利、そして②銀行が融資を積極的に行なっているからです。銀行、なかでも地方銀行は業績がよくありませんでした。
しかし、コロナ融資と住宅ローンのおかげで地方銀行の業績はとてもよくなりました。Q3.住宅ローンって頭金2割要求されるって本当ですか?
以前はそうでしたが、今は1割の頭金を用意する人でも半分もいません。
例えば3500万円の建売住宅を購入する場合、頭金は100万円、、、いや50万円の場合もよくあります。ほぼフルローンの人も沢山います。
Q4.住宅ローンは変動金利、固定金利どっちが多いのですか?
全体としては変動金利が半分強です。
ただし、民間銀行で優遇金利が受けられる人は9割近くが変動金利を選択しています。
金融機関や個人属性にもよりますが、低いところで変動金利は0.4%程度です。
これに対して固定金利は10年固定で0.7%程度、フラット35で1.3%。
基本的には変動金利の方が低いです。Q5.住宅ローン控除が1%から0.7%に引き下げられますが、その影響は?
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単年度でみると減税額が減少するので、規模縮小の印象は否定できません。
しかし、金利以外にも、期間も10年から13年に変更される等あり、長期的には大差がない方が多いです。
また、住宅ローン金利より控除率が高いため、借金をすると儲かってしまうことを是正するために改正されるわけです。
規模縮小ではありますが、これにより即座にブレーキがかかるとは思いません。 Q6.郊外の戸建住宅が売れている理由はなんですか?
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理由は主に二つあります。
①まずは名古屋市内中心部の不動産が高くて、手が出ないからです。
住宅ローンは所得に対して返済比率20~25%前後で組む場合が多いです。
でも、給料上がっていませんよね。。。銀行が融資をしようと思っても、総額の上限がでてきます。
だから、名古屋市内中心部では土地を小さくして総額を抑える。でなければ郊外で買うしかないわけです。②もう一つは郊外の区画整理された地域の方が、古い近所づきあいに縛られないから。
そのため、名古屋市の最東端、守山区志段見地区、北は春日井市、東は長久手市、日進市等が人気です。 Q7.住宅価格が上昇しているってことは、今は好景気なのですか?
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いいえ、ちがいいます。
インフレには3種類あります。
①貨幣価値の下落による資産インフレ
・・・現在の金融緩和もこれに該当します。
②調達コストが増大することによるコストプッシュインフレ
・・・現在の原油高による物や輸送費の高騰が代表例です。
③旺盛な購買意欲、需要が牽引するデマンドプルインフレ
・・・好景気におけるインフレです。
今は①の資産インフレから始まって、②のコストプッシュインフレが顕著です。
しかも給料は上がらないスタグフレーションです。つまり、株価は高いですが、実態経済は良くないです。
不動産では特に建物価格の上昇が顕著です。 Q8.2021年はウッドショックがありましたが、今でもその影響はありますか?
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あります。
ウッドショック自体は落ち着いています。しかし値上げされた建物価格が今でも下がっていません。ウッドショックを理由に新築注文住宅で坪4万円程度あがりました。延床面積35坪程度なら約140万円値上げされたままです。
最近では鉄骨やコンクリートの価格も上昇しています。
あとは半導体不足によって給湯器が手に入らない、エアコンが手に入らない等、小規模工務店を中心に工期の遅れが出ています。 Q9.2022年は何に注目ですか?
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ズバリ世界のインフレと金利です。
日本では低金利が継続していますが、海外、アメリカではテーパリング、つまり量的緩和をやめて利上げ観測が見られます。その金利差のために、円を売ってドルを買う円安がすすんでいます。
しかし日本は景気がよくないので簡単には金利を上げることができません。このままだと120円突破も充分視野に入っています。 現状でも原油高から物や輸送コストが上がっていますが、円安で更に輸入資材が高くなり、建物価格が高騰する。食料、生活必需品も高くなることが懸念されます。
そしてコストプッシュインフレ、スタグフレーションが進むと家計を圧迫してローンの返済比率が30%を超える方々がでてくるかもしれません。一般的に30%を超えると債務不履行の可能性が高くなることに注意です。 Q10.2022年の住宅価格はどうなると予想しますか?
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建物価格は依然として高いまま。ひょっとしたら更に高くなるかもしれません。
土地価格は金利の影響を受けますが、日本は世界から取り残されつつもまだ低金利継続。2022年に限っては高止まり、大幅な値崩れはしないと予想します。
しかし、世界全体がきな臭い状況もあるので防御力を高める必要があります。
住宅ローンの変動金利も0%に近づき下を追いかけても僅かしかない。
そして日銀の黒田総裁の任期である2023年4月までは低金利が維持されると思いますが、それ以降はわかりません。
だとするならば、敢えて長期的視点から1%未満の10年固定金利を選択し、守備力を高めるのも選択肢に入る時代に突入すると予測します。