底借売買
隣地間売買 では、土地の所有者が隣地を取得する場合には、一般の第三者が取得する価格(相場)と異なる価格で売買することが適正となる場合があることをご説明しました。
本稿でも、これと類似の事例をご紹介します。
- 借地人が底地を取得する場合
- または底地所有者が借地権を取得する場合です。
これを不動産業界では「底借(そこしゃく)」売買と呼ぶこともあります。
借地権とは、借地借家法2条に規定されており、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のことをいいます。
また、底地とは、借地権が付いている土地の所有権をいいます。
借地人と底地所有者(地主)との間で取引を行った場合、借地権が消滅します。
そして、借地権が設定されていた土地が完全所有権(更地)に復帰することとなります。
これにより、借地契約上の制約がなくなり、土地の流動性(売り易さ)が上昇するため、増分価値が発生します。
つまり、完全所有権となる土地(更地)の価値は、借地権の価値と底地の価値の単純合計を上回るということです。
借地権価格 + 底地価格 < 更地価格(完全所有権)
1000万円 + 1000万円 3000万円
のイメージです
一方で、底借の関係は当事者間の個別事情(借地権の種類、借地契約期間・残存期間、過去に支払った一時金、賃料等)に左右されるところが大きく、また、取引慣行が地域によって異なるなど、非常に複雑です。
また、長年の感情が関与してしまうことも。
それゆえに、適正価格がわかりにくく、トラブルが多いのが実態です。
不動産鑑定士は、隣地間売買と同様に限定価格という概念を用いて、適正な底借売買の価格を論理的・客観的に導くことができます。
既に拗れてしまった底借売買だけでなく、将来のトラブルを回避する観点からも、不動産鑑定をご検討ください。